近年のガソリンエンジンの圧縮比は10~12 程度であることが一般的ですが、理論的には圧縮比を10 から15 まで高めると、約9% の熱効率改善が期待できます。それにもかかわらず、これまでガソリンエンジンの高圧縮比化がさほど進んでいない理由の一つは、ノッキングにより出力が大幅に下がるためです。
ノッキングとは燃料と空気の混合気が高温高圧にさらされた際、正常な燃焼が終了する前に自己着火を起こす異常燃焼のことで不快な音や騒音を発生させます。圧縮比を高めると圧縮上死点付近の温度が高くなるためにノッキングが発生しやすくなります。
圧縮上死点温度を低減するためには、排気されずに燃焼室内に残る高温の残留ガスを低減することが効 果的です。例えば、圧縮比が10、残留ガスの温度が750℃、新気の温度を25℃と想定した場合、残留ガスが10%残っていると、圧縮前のシリンダー内の 温度は約70℃上昇し、圧縮上死点温度では約160℃も上昇する計算となります。つまり、残留ガス量のノッキングへの影響は甚大であるといえます。例え ば、残留ガスを8% から4% に半減すれば、圧縮比を3 上げても、圧縮上死点温度は同じという計算になります。
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